特別養護老人ホーム「美晴らしの里」

平成27年3月 「特別養護老人ホーム美晴らしの里」が竣工しました。本物件は国の補助事業のスケジュール上、非常に工期が厳しい現場でした。今回は社会福祉法人も新設で、その許認可も必要でした。

新設法人の法人認可は設計事務所もお手伝いさせていただきますが、資金面、人材確保、規約等の作成など事業者様の負担が大きく、準備段階からそれなりの体制で臨むことが必要になります。


またこの現場はもともと山林状で高低差が大きいため切土によるレベル設定をどうすべきか決めるのがむずかしく、多くのプランニングをして比較検討し、事業者様ともども悩みぬき、やっと基本方針が決まりました。

切土量が大きければ大きいほど広い駐車場がとれるが、造成費がかさみ大きな擁壁が必要になる、といった具合です。
最終的には2階建てで納まり、かつ周囲を散歩できる程度の平場をのこし、必要最低限の駐車場を敷地内にとり、斜面を緑地とするというプランになりました。

擁壁もさほど巨大でなく、バランス的にはベストだったんではないかと思います。

 

内部ですが、やはりなるべく低層で使いやすくシンプルな動線、明るく開放的な雰囲気、を心がけてます。
豊富な収納、各ユニット別の汚物処理室と大きな汚物処理室・小荷物昇降機設置、死角が極力ないようにといったご要望をいただき、反映させていただきました。

また事業者様のアイディアで、スタッフ用の託児所が、ホールに隣接して設置されてます。

事業者様には毎回定例会議にご出席いただき、積極的なご意見をいただきました。

DATA

事象主体 社会福祉法人 正心会
用途 特別養護老人ホーム(各ユニット10名×10ユニット)、デイサービス、ショートステイ8名1ユニット 1F:4ユニット+デイサービス+ショートステイ+管理部門 2F:6ユニット
構造規模 鉄筋コンクリート造ラーメン構造 2階建て、建築面積:2389.94㎡、延べ面積:4235.31㎡
敷地面積 6644.79㎡
主な仕上 屋根:外断熱アスファルト防水コンクリート押え 外壁:磁器質タイル・吹付塗装
  内装 天井・壁 石膏ボード ビニルクロス張り他  床 シート張り
設計監理 株式会社イデア建築設計事務所
見晴らしの里・外観1

車寄せ・アプローチ部分

見晴らしの里・外観2

左の写真と対角線上反対の部分。必要最低限の擁壁。

見晴らしの里・外観3

道路からの接道部分。

見晴らしの里・中庭

託児所の前の中庭。ウッドデッキ(風の樹脂製デッキ)で遊べるようにした。奥にシンボルツリー。個室前バルコニーにはルーバー状の目隠しを設置。

見晴らしの里・ホール

ホール。右上写真のシンボルツリーが見え、託児所外部のスペースが見える。

見晴らしの里・センターの廊下

センターの廊下。左右にユニットが配置され、廊下沿いに介護職員室、個浴、汚物処理室、収納等が配置されている。

見晴らしの里・ユニット内部

ユニット内部。手前にキッチンスペース、入り口付近に3か所のトイレを配した。ベランダは緊急時に出られるよう、1か所は掃出しサッシとした。

見晴らしの里・キッチン

風ユニットないキッチン。

見晴らしの里・個室内部

個室内部。ベッドは備品。家具は持ち込みとしていただく。エアコンは個別だが、一斉操作も可能。緊急時は掃出しサッシからベランダに出られる。

見晴らしの里・個室入口

個室入り口。車椅子対応洗面台。

見晴らしの里・トイレ

ユニットのトイレ。事業者様のリクエストで、便器の前に体重をかけられる手摺状のバーを設置。いまは跳ね上げられている。トイレは極力長辺方向からはいれるようにし、便器から見て右からと左からと入れるトイレを振り分けた。これも右麻痺、左麻痺の方に対応できるようにとの事業者様のリクエストによる。

見晴らしの里・トイレの手洗い

トイレのコンパクト手洗い。

見晴らしの里・エレベーター

エレベーター。寝台用を2台配置

見晴らしの里・エレベーター内部

エレベーター内部。

見晴らしの里・機械浴室

機械浴室。手前はチェアインバス、奥はクロスラインバス。バス等は備品である。

見晴らしの里・個浴の機械浴槽

個浴の機械浴槽。専用ユニットバスに配置されている。

見晴らしの里・個浴バスタブ

こちらは3方介護ができる個浴バスタブ。やはり専用ユニットバスに専用バスタブを使っている。

見晴らしの里・配膳車カート置き場

調理室と温冷配膳車のカート置き場。

見晴らしの里・介護職員室

介護職員室。

見晴らしの里・洗濯室

洗濯室。